音楽はごちそう<番外編>

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このフレーズにピンと来た方は“通”です!?
そろそろ支持会員の皆様のお手元に、ニュース「ピッコラ」が届き始めていることと思います。
このところ、我が札幌室内歌劇場はありがたいことに公演が多く、いろいろなご報告などを載せたりしていて、内容もギッシリになっております。
以前ピッコラで“音楽はごちそう”というコラムを連載していましたが、そんなこんなでなかなか紙面にスペースがなく・・・・しばしお休みのコーナーとなってしまいました。
ということで今回は番外編としてちょっと書いてみたいと思います。

私のお気に入りの映画館へ公開が終わりそうな「エンジェル」という作品を観に行きました。これまた私の好きなフランソワ・オゾン監督の作品。成功を手にした女流作家の人生を描いた、なかなか見ごたえのある作品でした。
バイオリンの音色がせつなく響いたり、長調から短調への転調が、たくみに場面を物語ったりと、この映画の中の音楽はとても素敵でした。
しかし、今回ここで書きたいのはこの映画の音楽ではありません。
映画が始まる前に放映される“予告編”で流れる音楽のことです。

まもなくこのお気に入りの映画館で公開される「マリア・カラス 最後の恋」。数年前、「永遠のマリア・カラス」という作品が大ヒットしましたが、これはオナシスとの恋愛を主軸に描かれています。この予告編の終わり頃に流れるオペラ“トスカ”のアリア“歌に生き、恋に生き”が、何と素晴らしいことか!!!おそらく全盛期の歌声を使用しているのでしょう、声そのものもドラマティックな表現も素晴らしく、全盛期をナマで聞いてみたかったなぁと深く深〜く思いました。
そして次の予告編は「ヒトラーの贋札」という映画。これはヒトラーのあの時代、贋札を作るよう指令され、その成功如何に運命がかかっている、という内容。辛く、かつ緊迫感のある予告編・・・この最後の方で流れてくる音楽はなんとこれまた“トスカ”。カヴァラドッシのアリア“星は光りぬ”なのです。これがまた切ない!非常に切ない!!
この二つの予告編でトスカの名曲が並んでいることにまずは驚きました。そしてトスカの中で、この二人の主人公の極限の感情がこの二つのアリアには込められている。極みの場面なのです。特に「ヒトラーの贋札」でのこの選曲は、なかなかいいのではないかと納得。
本編でも使用されているのかどうか・・・この作品は見てみたいのだけれど、気持ちがノーマルな時でなければちょっと見る勇気が出ないような、辛さがズシッと乗っかりそうな予感・・・

久しぶりの“音楽はごちそう”でした。