稀勢の里関が引退しました。
”唯一の日本人横綱”と言われ続けました。その重圧は本人にしかわからない苦しさだったことでしょう。怪我を押して土俵に立ち、痛みに堪えて勝つ。日本人の好きなカタチ。しかしこれが力士としての寿命を縮めてしまったのでしょうね。悔しいだろうなぁ。怪我は付き物とはいえ…切ないです。
さて、”唯一の日本人横綱”と耳にするたびに、もうそろそろ”日本人”というくくりを抑えてはどうかなと感じていました。ふた昔前くらいはハワイ出身の力士が強く、その後モンゴルや韓国、中国、ヨーロッパ出身の力士が増えました。皆さん日本語も上手で相撲や日本のしきたりに則って日々暮らしています。文化の違う方がまわしを締めるだけでも勇気がいるだろうなとも思いますし…思えばもう外国人力士が活躍し始めてかなりの年月が経つのです。相撲人気低迷を支えてくれたのも外国人力士じゃありませんか。決まり手が気に入らん!とか懸賞金の取り方が気に入らん!とか、まぁいろいろご意見も耳にしますが…そろそろどうでしょう、マスコミの皆さん、フラットに「相撲」でいいのでは?厳密には相撲は国技ではないわけだし。
というのもいつのこのことが重なって見えるからなのです。
日本人が外国でオペラを歌うとき、以前は”日本人はこの役はだけ。この役はダメ”ということがありました(今も?)。悔しい思いや苦労もたくさんあったことでしょう。他の分野でもこういったことはまだ存在します。
同じような偏見を持って日本にいる外国人を見てはいないだろうか。極端に”日本人力士”を強調するとき、心の奥底がチクッとします。