さて5か月ほどさかのぼります。2019年12月に公演したオペラ「アブ・ハッサン」を振り返ってみます。
場所は“ことにパトス”という地下鉄駅直結のイベントスペース。100席程度のコンパクトな空間はお客様と会話をしているような距離感。とくれば、このオペラもそれに見合ったものにしよう!ということで、芝居はよりわかりやすく、細かなネタもふんだんに盛り込み、しかし歌やアンサンブルはよりみっちりと正確に。アラビアの雰囲気たっぷりの歌謡ショーのシーンも加えて…初演の数倍も濃厚なものになりました。作曲家のウェーバーだってこんなことになるとは思っていなかったかもしれない。天国から“まったくバカなことやってるなぁ”なんてツッコミながら楽しんで見守ってくれていたと…思いたいです(笑)。
でも舞台の面白い要素をふんだんに盛り込むのは非常に面白い!苦労があってもやはり楽しさが勝ってしまうのでやめられないのです。個人的には客席から出入りしたり、客席でお客様を少し巻き込んでのお芝居が他にはない楽しい経験として残っています。
また楽しい舞台が出来る日が来るのを、今は心を熱くしながらじっと待つ毎日です。