映画《旅立ちの時》

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 ベートーヴェンイヤーに因んでこんな映画はいかがでしょう?

『旅立ちの時』
~1988年・アメリカ 監督/シドニー・ルメット 主演/リバー・フェニックス
 
ベートーヴェンの音楽が使われる映画はたくさんありますが、この作品もその一つ。
60年代のアメリカ。少年ダニーの両親は反戦運動のテロリストとしてFBIに指名手配されている。生活環境に危機が迫ると名前を変えて引っ越しを繰り返してきた彼はいつも本心を出せない。もちろん将来に希望を持つことも。そんな彼が転校先で初めて音楽の授業に出席する場面です。
音楽教師はマドンナの歌とクラシック音楽を生徒に聴かせる。生徒たちはその違いを“ポピュラーとクラシック”“悪い音楽と良い音楽”などと答える。教師がかけたのはベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー」。ダニーはその曲がベートーヴェンのものとわかっている唯一の生徒なのだ。“ベートーヴェンでは踊れない”と答えるダニー。才能に気づいた教師はピアノを弾くことを促すと静かにピアノの前に座り、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の二楽章を弾き始める…古びたグランドピアノに向かい、ひたむきに音を紡ぎだす姿はどこか寂し気で、背負ってきた境遇と穏やかなメロディーが感傷的に重なり合います。この二曲のベートーヴェンを用いた場面がその後の展開の出発点となるのです。
やがて人生の岐路に立ち、思春期ならではの葛藤を抱えながら「旅立ちの時」を迎えるダニー。彼にとって音楽は心を支えてくれるもの、そして将来を導いてくれる光。人間にとって、どんなときでも傍らに音楽があるのは何よりの救いであると感じずにはいらせません。