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室内楽
スタッフ・解説
■解説「魔笛-愛の讃歌」 オペラ魔笛は、モ-ツァルトの最後の作品で、オペラの魅力的なエッセンスがさりばめられた、美しいオペラです。物語は、美しい王女パミ-ナ姫を恋する王子タミ-ノが、ザラストロの課す試練を魔法の笛の力で乗り越え、最後にパミ-ナ姫と結ばれるというものです。 通常、夜の女王対光の国の高僧ザラストロの対決と、タミ-ノが試練を乗り越えてゆく姿に重きが置かれます。しかし、わたしたちは、建前や争いごとや使命感の名のもとに埋もれてしまう、「人の優しさ」に注目しょうと思いました。今回、重要なのは、タミ-ノとパミ-ナ姫、パパゲ-ノとパパゲ-ナという2組のカップルです。 タミ-ノはザラストロの課す試練に果敢に挑戦して、王女パミ-ナ姫と結ばれます。一方、パパゲ-ノはどうでしょうか?パパゲ-ノは沈黙の試練では喋るし、すぐお腹が空いたとへこたれるし、一見、ただの足手まといに見えます。しかし、パパゲ-ノの言い分に、耳を傾けて見ると、・・・・ パパゲ-ノは、毎日がすこやかで、美味しいものと、愛する人に囲まれている生活が望みだといいます。また、パミ-ナ姫を悲しませるような沈黙の試練など、無意味だと指摘します。 パパゲ-ノの地に足のついた人生観とすなおな優しさ。彼は争いや試練に目を奪われがちな私たちに、愛しあうことが大切なのだと、警鐘を鳴らしてくれるのです。 試練を乗り越えることができたのも、有り難い教えや意思の力ではありません。魔法の笛と魔法の鈴の力や天使たちの導き。それはすなわち「愛」の力によってなのです。 音楽監督 岩河智子 ■今回の上演の特徴 小劇場空間での密度の高いドラマを生み出すため、つぎのような工夫をしました。 もともとの「魔笛」はジングシュピ-ルといって曲と曲との間を台詞がつないで行きます。今回は、歌手の表現力をより生かすために、台詞をレチタティ-ヴォとして岩河智子が作曲し、チェンバロ伴奏で、話すように歌います。 高僧であるザラストロを、人となりを細かく表現できるように、「後継者選びに悩む孤独な支配者」と考えました。 本来“奴隷”であるモノスタトスを家臣の一人とし、はっきりと“悪人”と分るようにしました。 「童子」とよばれる三人の子どもを「天使」という役にし、国や人の争いを超越して人々を良い方向に導く存在としました。 オーケストラパ-トは、チェレスタ、チェンバロを含むアンサンブルに編曲し、モ-ツァルトの描いたおとぎの世界の音色をイメ-ジしました。 舞台は、ケルト文化(古代のヨ-ロッパ文明)のイメージを引用し、石柱で囲まれた空間、布を結びつけた樹木が飾られた空間にしました。 演出 中津邦仁
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