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平成23年度 (財)北海道文化財団 文化の宅急便 NPO法人札幌室内歌劇場公演 オペラ「唱歌の学校」 6年1組の新学期 イギリスから転校生がやってきた 歌を通して子供たちの交流が生まれた 楽しく1年が過ぎ、やがて別れの春がくる・・・
第1部「町内合唱団プチ演奏会」 ■ まおいコ-ラス ・天までとどけ(作詞・作曲/さだまさし) ・精霊流し(作詞・作曲/さだまさし) ■ 長沼町青年団体協議会(白バラ合唱団) ・赤い花白い花(作詞・作曲/中林ミエ) ・モルダウの流れ(作詞/平井多美子、作曲/ベドルジフ・スメタナ) ■ 合同合唱 ・大地讃しょう(作詞/大木惇夫、作曲/佐藤真) 第2部「唱歌の学校」 出演
室内楽
スタッフ
曲目一覧(作詞/作曲) 港(籏野十一郎/吉田信太),ふじの山(巌谷小波),隣組(岡本一平/飯田信夫),見渡せば(柴田清●・稲垣千●/ルソー),羽衣(葛原/梁田貞),羽衣(林柳波/橋本国彦),雀の学校(清水かつら/広田竜太郎),あんたがたどこさ(不詳),うつくしき(稲垣千●/スコットランド民謡),故郷の空(大和田建樹/スコットランド民謡),思い出(古関吉雄/イングランド民謡),散歩唱歌(大和田建樹/多梅雅),春が来た(高野辰之/岡野貞一),春の小川(高野辰之/岡野貞一),かたつむり(不詳),七夕さま(不詳),ウミ(林柳波/井上武士),虫の声(不詳),つき(不詳),冬の星座(堀内敬三/ヘイス),お正月(東くめ/滝廉太郎),一月一日(千家尊福/上真行),雪(不詳),子守唄(不詳),うれしいひな祭り(サトウハチロ-/河村光陽),故郷をはなるる歌(喜丸一昌/ドイツ民謡),仰げば尊し(不詳),Auld lang syne (スコットランド民謡),埴生の宿(里見義/ビショップ) 【作品解説】「唱歌」でこしらえた新しいオペラ 12年前、だれでも知っている童謡や唱歌を使って音楽のドラマを作り、それにスト-リーをつけてオペラが作れないかと思いました。聞き覚えのあるメロディ-をたどりながら音楽に身を任せる楽しさを沢山の人に味わってほしいと思ったのです。 「唱歌」とは、明治時代、文明開化の流れを受けて、文部省が日本の子供たちに西洋音楽を学ばせるために作り始めたものですが、取り上げられている曲の移り変わりをみるととても面白い。最初期は、越天楽の節を使った「南朝五忠臣」のような「雅楽調」。次に外国の曲に日本の詩をあてはめた「和洋折衷型」。たとえばフランスのルソ-の曲(むすんでひらいて、として有名)に古今集の歌詞をのせた「見渡せば」やスコットランド民謡の恋のざれ歌にしみじみとした秋の詩をつけた「故郷の空」。子供たちは初めて耳にする外国の音の連なりと、少し難しい歌詞に戸惑いつつも、たどたどしく歌っていたのでしょう。 そして時代を経て、ようやく詩・曲とも日本人の手による作品が生まれます。「花咲爺」「うさぎとかめ」など日本の昔話に取材したもの、「春が来た」「七夕様」「お正月」など 四季折々の日本の風物や子供たちを取り巻く景色を歌ったもの・・。旋律も歌詞も単純で解りやすく、子供たちはこんどこそ大きな声で楽しく歌ったことでしょう。 そんな唱歌の歴史の中で、私は和洋折衷型のタイプに特に興味を持ちました。もともと日本の曲であると錯覚してしまうくらい歌詞がしっくりと当てはめられていること。そして、イギリス、特にスコットランドの曲が多いこと。日本人とイギリス人が実際言葉を交わして親しくなるより、ずっと前から子供たちは歌を通してイギリスの人たちと仲良くなっていたのだと思いました。そしてあれこれ空想を広げ、日本の小学校にイギリス人の女の子が転校してきて、みんなと共通のメロディ-を歌いながら友達になってゆくというスト-リーを思いつき、オペラ「唱歌の学校」ができました。 もともとは小学生でも歌える唱歌の旋律ですが、そこはオペラのアンサンブルで鍛えた札幌室内歌劇場の演奏家たち、かなり手の込んだ編曲を抜群の表現力で演じます。 “あれまつむしがないている・・・”で始まる「虫の声」は、11人の歌手が11通りの旋律「すぃっちょん」「チンチロリン」などを同時に歌い交わすマドリガル風、虫の大合唱として。それから“あんたがたどこさ”が、ウエストサイドスト-リーの「クール」の旋律と重ね合わせて、緊迫したシーンとして演じるし、さらに“ちいちいぱっぱ”と歌う童謡「すずめの学校」は、オペラ歌手ならではのベルカント唱法の発声練習にしてしまうのです。 多彩に生まれ変わった唱歌の織りなすドラマに、たっぷりと身を浸して、思いっきり笑って、そしてちょつとポロリとして・・・。オペラの楽しさ、そしてなにより日本の唱歌の素晴らしさを感じていただければ、作者としてこんな嬉しいことはありません。 作曲家 岩河智子
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