曲目
1.セレナ-タ トスティ作曲
イタリア近代作曲家トスティの作品の中でも指折りの名旋律。月が美しく輝く晩、ギタ-の音色を思わせる軽快なリズムに乗って、愛しい女への熱い思いが語られる。
2.朧月夜 高野辰之作詞・岡野貞一作曲・岩河智子編作
大正3年(1914年)に「尋常小学校唱歌」に初出、現在も小学6年生の教科書に載っている。詩は、4・4・3・3音で構成され、リズミカルに脚韻を踏みつつ美しい日本の風景を視覚的・聴覚的に描き出している。
作曲者岡野は若くしてキリスト教の洗礼を受け、以後40年にわたって教会オルガニストを務めた。彼の作品の多くが賛美歌の影響を受けていると言われている。この二人による唱歌は他に「故郷」「春の小川」「もみじ」などがある。
3.十五夜お月さん 野口雨情作詞・本居長世作曲・岩河智子編作
裕福な家庭が没落し一家離散。その家の少女が悲しい心の内を語りだす。ばあやとの別れの寂しさ、もらわれていった妹への思い、そして恋しい母への思慕を月に向かってはきだしている。
この歌は大正9年(1920年)に童謡・童話雑誌「金の船」に発表された。野口雨情・本居長世のコンビで他に「七つの子」「青い目の人形」「赤とんぼ」「赤い靴」など、今も歌い継がれている多くの童謡が生まれた。
4.おやすみ 三木露風作詞・中田喜直作曲
昭和22年(1947年)に発表された中田喜直の「六つの子どもの歌」の6曲目であるが、童謡や子守り歌とは思えない不思議な雰囲気をもつ作品。
詩は「赤とんぼ」の作詞でも有名な三木露風。彼は北海道・上磯町のトラピスト修道院で文学講師を務めた後、1922年にここで洗礼をしている。
5.月の光 ドビュッシ-作曲 ~ピアノソロ~
1890年に作曲された「ベルガマスク組曲」の3曲目。フランスの詩人ヴェルレーヌの「艶なる宴」のなかの1篇「月の光」に触発されて作曲されたと言われている。
顔とともに様々な悲しみを仮面の下に隠しながら宴に饗する人々。その夜空には、月が冴え冴えと輝いている・・・。
6.月の砂漠 加藤まさを作詞・佐々木すぐる作曲・岩河智子編作
この異国を連想させる幻想的な詩は、挿絵画家として人気を博した加藤まさをが大正12年(1923年)に雑誌「少女倶楽部」に挿絵と共に発表した。「らくだに乗った王子様とお姫様の小さな物語」が、岩河智子の編作により聞くものの想像力をかきたてる壮大な叙事詩的作品に生まれかわっている。
7.きらきら星変奏曲 モーツァルト作曲 ~ピアノソロ~
日本で「きらきら星」として親しまれているこの曲のテ-マは、18世紀後半にフランスで愛唱されていた(原題は「あぁ、お母さん、あなたに申しましょう」)。モーツァルトはこのポピュラ-なテーマに12の変奏曲を書いている。当時「変奏曲」はピアノ愛好家の需要に応じて出版されることが多かったが、この曲も1785年に出版されている。
8.オペラ「ドン・ジョヴァンニ」より“おっしゃらないで、いとしい人よ”モーツァルト作曲
騎士長である父をドン・ジョヴァンニによって殺された娘のドンナ・アンナ。婚約はしているものの、父の仇を討つまでは結婚に踏み切ろうとしないアンナに、婚約者のオッタ-ヴィオは焦りをつのらせる。そんな彼に「私があなたにつれないなどとおっしゃらないでください」となだめ諭すアリアである。
9.オペラ「夕鶴」より“私の大事な与ひょう” 團 伊玖磨作曲
日本の民話劇様式の確立者であった木下順二の戯曲を台本に使い、團 伊玖磨が作曲した二部構成のオペラ。このアリアで、村の子ども達と「かごめ遊び」をしていた後、ひとりになったつうは、命の恩人と思って献身してきた夫が、次第に自分と違う世界の人間になりつつあることの不安を歌う。
10.時計台の鐘 高階哲夫作詞・作曲・岩河智子編作
昭和2年(1927年)にコンサ-トのために札幌を訪れたバイオリニスト高階哲夫が札幌の街の印象をもとに作った歌。
札幌室内歌劇場の「時計台コンサ-ト」では、音楽監督で作曲家の岩河智子が当日の出演者の編成、プログラムに合わせて編曲したものを演奏し続けている。ここでしか聞けない「時計台の鐘」をお楽しみください。